日本でも広まるオープンガーデン
たまに「オープンハウス開催中!」という不動産のチラシや、看板を見かけることがあるかと思います。オープンハウスというのは、実際に売りに出されている家の中を自由に見られるイベントですが、このお庭版があることをご存じでしょうか?「オープンガーデン」といって、こちらは販売目的ではありませんが、個人の庭を一般に開放し自由に見学ができるイベントです。もともとイギリスに端を発するこのオープンガーデン、当初の目的はチャリティであり、得られた収益を公共団体に寄付するという活動から始まっています。80年以上の歴史をもつというイギリスとくらべると、日本のオープンガーデン活動はまだまだ始まったばかりですが、全国各地で行われるようになり、広がりをみせています。
ツアーで巡るオープンガーデンも
日本でも広がっているというオープンガーデンとはどんなものでしょうか。実は国内にはまだオープンガーデンの全国的な組織といったものはなく、その定義も明確化されているわけではありません。個人の庭を開放するとはいいましたが、造園会社などの企業が企画して行う場合もありますし、行政が中心となって行う場合もあります。しかし一般的には、個人の家の庭を中心とした地域のコミュニティとしての活動を指すのが普通なように思います。そのため各団体での活動形態もさまざまなのですが、そのぶんバラエティに富んでいて、それぞれが特色ある活動をしているようです。
たいがいはその地域の庭好きな方や花好きな方の有志が集まって運営していて、数軒のところもあれば30軒以上というところもあります。ある程度組織的に活動しているところですと、小冊子やパンフレットなどを作成し、マップ付きで案内していたりするので、訪れる人は一日中楽しむことができますし、宝物を探しに行く冒険のような気持ちになれるかもしれません。中には旅行会社と提携し、バスツアーなどを組んでいるところもあるくらいです。
街おこしにもつながるオープンガーデン
オープンガーデンを個人の庭だからとあまく見てはいけません。皆さんお庭自慢、花自慢の家ばかりで、そのガーデニングに関しての知識と情熱は並々ならぬものがありますし、その発想には驚かされるものがあります。庭主が直々にお茶を出してくれるようなところもあり、庭を通して交流を深めることができるのも、オープンガーデンの楽しみのひとつです。オープンガーデンで有名なもののひとつに広島県の「庄原さとやまオープンガーデン」があります。春と秋に一般公開されているのですが、6年前に12軒の庭からはじまり、今年は33軒。人口3万9000人のこの町に今や年間5万人以上が訪れているそうです。
ちょっと調べてみれば、みなさんがお住まいの地域でもオープンガーデンをおこなっているかもしれませんね。他の家庭の庭を眺めることができる機会というのは、そうそうあるものではありません。オープンガーデンに参加している方々はみな庭が好きで、花や木が好きな方たちばかりです。庭主のご厚意により成り立っているのですから、マナーを守り楽しんでいただきたいイベントです。
庭作りに興味ある方、どんな庭にしたいか考えている方は一度ご覧になってみると大いに参考になると思います。植木屋としても日本の庭作り、ガーデニングが今後どのように変わっていくのか、ひじょうに楽しみなイベントのひとつです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。