思った以上に多い?植木屋が考える庭木の役割 その3
庭に一本の木を植えてみよう
これまで語ってきて、庭木には情緒的な役割から実用的な役割まで、多くの役割を果たしていることがわかってきたと思います。もちろん庭づくりには庭木を植えること以外にも多くの作業や楽しみがありますが、庭に一本の木を植えることはもっとも簡単に庭の環境を変化させる手段なのです。庭全体を見たときの印象もがらっと変わりますし、周囲への影響も変わってきます。鳥や昆虫がやってくるようになったり、さわやかな風をもたらしたりします。今回ももうしばらく庭木の役割について述べさてください。目の錯覚?庭木を使った空間の演出
同じ大きさの何もない庭と木が植えられた庭、広いのはどちらでしょうか?もちろん何もない庭ですね。物理的な広さでいえば何もない庭の方が確実に広いはずです。しかし実際に広いのと〝広く感じる、広く見える〟ということは違います。庭木にはそういった庭を広く見せるというような空間の演出という役割もあるのです。
絵画などではよく遠近法といって近くのものは大きく、遠くのものは小さく描くことで、より奥行きを感じさせる手法があります。これは錯視といって人間の目の錯覚を利用したものですが、同じようなことは庭づくりの世界でも活かすことができるのです。例えば庭の隅を木で隠すことで、より広がりを感じさせたり、複数の木を距離をあけて植えることで奥行きを感じさせたりします。また草花よりはるかに高さのある庭木は、庭に空間の高さを感じさせる重要な素材です。庭木の種類や剪定の仕方によって、高さにも変化がつけられます。このようにして空間にメリハリがつけられた庭には、立体感や遠近感が生まれ、実際以上に広さや奥行きを感じられる庭になるでしょう。その家とともに歴史を刻む庭木
最後に、庭木の寿命はどのくらいだと思いますか?木の種類にもよるので一概には言えませんが、おそらく庭木であれば十年くらいから数十年といったものが多いと思います。中には百年以上、千年以上というものもありますが、一度植えたら長くお付き合いしていくことになるのが庭木という存在です。そんな庭木ですから、木の成長とともに月日の流れを感じ、その家の歴史を一緒に刻んでいるということも大事な役割ではないでしょうか。
最近では誕生記念樹といって、お子様の誕生を記念して自治体が樹を配るところもありますし、結婚や新築のお祝いに記念樹を植えるという方もいらっしゃいます。そのようにして植えた木は特に大事に育てていただきたいと思います。 以上3回にわたって庭木の役割について述べさせていただきました。予想よりも長くなってしまいましたが、お読みいだだきありがとうございました。
庭木の役割を知ることで少し興味が出てきた方もいらっしゃるのではないでしょうか?もし庭に木を埋めてみようとお考えの方や、どんな木を埋めたらいいか分からないという方、もしくは植え替えたいといった要望をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。「あなたの街の植木屋さん」では目的や用途にあった庭木のご提案もさせていただきます。