真夏の剪定は厳禁
伸びてきたからそろそろ切ろうかな・・・と、人の髪はいつ切りに行ってもいいですが、庭木の剪定は、人の髪のようにいつでもいいというわけではありません。特に枝葉が勢いよく伸びて茂った姿を見せる真夏は、剪定をしてさっぱりさせたくなる方が多いようです。しかしほとんどの樹木にとって、真夏の剪定は厳禁といっていいくらい、してはいけない時期なのです。夏は生育旺盛であり、剪定してもすぐにまた枝葉を伸ばして、逆に樹形を乱してしまうということもありますが、それはつまり多くの養分を使っているということです。
そのため、この時期の樹木は養分の蓄えに余裕がない状態なので、剪定をすることで木を弱めてしまいます。また、真夏の強い日ざしから守ってくれる葉が少なくなると、幹に直接日が当たって日焼けを起こし(幹焼け)、衰弱してしまうこともあります。木には剪定に適した時期というのがあり、これを剪定の適期といいます。木の種類によってその時期は異なるのですが、「常緑樹」と「落葉樹」という種類で大別することができます。
常緑樹の剪定に適した時期
「常緑樹」とは字のとおり、一年を通して常に緑の葉をつけている木のことです。常緑樹の剪定に適した時期は、比較的温和な春、初夏、秋になります。
月でいうなら3月から4月上旬、6月から7月上旬、地域にもよりますが9月、といったところでしょうか。
冬は切ってはいけない時期となります。というのも、一年中葉をつけている常緑樹は、そのときに必要なだけ光合成をして養分を作ることができるので、自分の体内に養分を蓄えることが得意ではありません。そのため晩秋や冬に剪定して多くの葉を失うと、養分をつくり出すことができなくなり、弱ってしまうのです。
「常緑樹は冬に切ると風邪をひく」なんて言葉もあるくらいです。
落葉樹の剪定に適した時期
「落葉樹」は冬がくる前にすべての葉を落とし、休眠する木のことです。常緑樹とは逆に冬が剪定に適した時期となります。落葉樹は葉を落とす秋までに体内に大量の養分を蓄えた後、春に備え休眠に入ります。休眠中は樹液の流れもほとんどなくなりますし、病害虫の被害も少ないです。
十分な養分が蓄えられているため、太い枝を切っても傷めるようなことはありません。また、葉をすべて落としているため全体の枝ぶりがわかりやすく、剪定もしやすくなります
。ただ、一部にはカエデのように休眠期間が短いものもありますので注意が必要です。
それでも適期以外で剪定したいときは
常緑樹と落葉樹では体の仕組みが違うこと、それによって剪定の時期に違いが出ることがおわかりいただけたでしょうか?ただそうなると・・・
植木屋に依頼した場合、すべての庭が剪定の適期にできているのか?といった疑問が出てくる方もいるのではないでしょうか。
それに、中には「正月をきれいな庭で迎えたい」とか「枝が隣家にはみだしているから剪定したい」というように、実際は適期以外で剪定が必要な場合も出てきます。ごく軽めの剪定にしたり、切り方に気をつければ、大きな問題はありませんが、強めの剪定をするときでも、いくつか工夫すればできないこともありません。切り口に殺菌剤を塗布したり、日差しや寒さから守るために幹巻きをしたりといった、ケアは必要になってきます。
いずれにせよ、植木屋は日ごろから木と接していますから、どの程度なら切っても大丈夫か、どの木は切ってはいけないかを心得ています。疑問や不安がありましたら「あなたの街の植木屋さん」にいつでもご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。