枝が悪さをする?不要枝とは
剪定の切り方は分かったけど、どの枝を切るべきなのか迷う・・・せっかく育った庭木の樹形を台無しにしたくない。その気持ちはもっともです。そういうときは、明らかに切っていい枝というのがあるので、そちらから剪定していきましょう。庭木の枝の中には、木が正常に育つために必要な栄養分を奪い取ったり、生長を阻害したりする枝があります。それらの枝のことを「不要枝(ふようし)」といい、剪定をおこなうときは、まず切り落とす対象になります。不要枝は「忌み枝(いみえだ)」ともいわれますが、少々嫌われる感じの名称ですね。
●不要枝の種類を知って見きわめる
不要枝にはその特性から以下のようなものがあります。
■枯れ枝
不要枝の中でももっともわかりやすい枝です。枯れた枝は変色していたり、周囲の枝とくらべてツヤがないので、見た目が悪いため目立ちます。栄養分を滞らせる原因になりますし、病害虫の発生源にもなるので無条件に取りのぞいたほうがいいでしょう。
■徒長枝(とちょうし)
とび枝ともいいますが、他の枝にくらべ勢いがよく長く伸びた枝のことです。一見いいように見えますが、勢いがありすぎるため他の枝の生長を妨げたり、樹形を乱す原因にもなるので剪定で切り除きます。ただし、周囲との枝のバランスで途中から切り詰める場合もあります。
■からみ枝
交差枝ともいいますが、名前のとおり枝同士が交差してからみ合って生長した枝です。葉が重なることで通気性も悪くなり、樹形を乱すため、交差しているどちらかの枝を剪定します。
■立ち枝
枝から直立するように真上に向かって伸びる枝のことです。放っておくと樹形の形を乱しますし、勢いが強いため他の枝の養分を奪いってしまいます。
■さかさ枝
本来、外側へ向かって伸びる枝が逆に幹の方向に向かって伸びる枝のことです。他の枝と交差するため不自然な印象を与えるため、つけ根から剪定してしまいます。 ■下がり枝
「垂れ枝」ともいうように、太い枝から垂れ下がった枝です。だらしなく見えますし、弱い枝なので枯れることもあります。
■平行枝
近い位置で長さと太さが同じくらいの2本の枝が上下、または左右に平行して伸びている枝です。樹形全体のバランスを見てどちらか一方を元から剪定するようにします。
■車枝(くるまえだ)
車輪の軸のように、幹の一か所から数本の枝が放射状に伸びるものです。主に針葉樹に見られるのですが、樹形を乱すので1~2本だけ残して他を剪定してしまいます。
■かんぬき枝
幹の左右前後に対になるように対称に伸びる枝です。通常、一方の枝を剪定して幹から枝が交互に出ているようにします。
■ヒコバエ
「ヤゴ」ともいいます。樹木の根元付近から発生する細い枝で、樹形を乱すとともに、放っておくと樹木を衰弱させてしまいます。
■幹吹き
「胴吹き」ともいいます。幹から直接発生する枝で、樹形を乱し、他の枝への栄養を奪って樹を衰弱させてしまいます。
多少名称が異なることもありますが、多くの不要枝の種類があることに驚かれた方もいるのではないでしょうか。不要枝は剪定するのが基本ですが、樹の種類や剪定の目的によっては意図的に残すこともあります。実際に庭木を前にしたときは、不要枝として扱っていいか迷うこともあるかもしれません。
そんな場合は無理に切らず、全体のバランスを見てから決めてもいいし、翌年にあらためて判断するのもいいでしょう。不要枝を切ることは剪定の基本といえます。不要枝の剪定だけでも、樹がすっきりとしてバランスがよくなると思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。